書評
—宇尾野 公義・木下 真男 著—筋病理アトラス
里吉 営二郎
1
1東邦大
pp.1451
発行日 1972年11月1日
Published Date 1972/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203217
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近年筋疾患の研究は目覚ましい発展をとげ,新しい筋疾患が次々と発見されつつあるが,その発展に筋生検による検索が大きな貢献を果してきたことは何人も疑はないであろう。筋生検による病理学的診断法は今日では,ルチーンの検査法として用いられるようになつてきている。しかしこれらの検査法は主として臨床の専門家の間で発展してきたため,一般の臨床家や病理を専門としている人々の間でも充分応用され,正しい診断をつけられるまでには致つていない。これは筋生検の手技や病理所見をひもどく適当な本がないからである。この種の本としては,今や古典に近いがShyとGreenfieldの神経筋疾患の病理アトラス(1957)が唯一のものであつた。1昨年Beth—lemが「筋病理学」を出版しているが,本邦ではこの種の本は従来全くみられず,実地に臨床や病理を行なつている諸先生も可成り困つておられたのではないかと想像される。
宇尾野博士と木下助教授の両先生は本邦におけるこの分野の専門家であり,殊に筋の組織化学の専門家として多くの業績をあげてこられた神経学者である。今回この両博士がBethlemの著書にも優る「筋病理アトラス」を出版されたことは我が国における筋疾患の発展を促し,臨床家や病理学者にも大きな貢献をするものである。
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