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編集後記
萬年 甫
pp.1584
発行日 1971年12月1日
Published Date 1971/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203038
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- 文献概要
たまたま本年のしめくくりのあとがきを書くはめになつてしまつた。顧り見ると本年もまた多くの原著が本誌によせられ,その処理に追われ追われてあっという間に1年がたつてしまつたというのが編集局一同の実感ではあるまいか。投稿される方々からお叱りをうけるかもしれないが,少々気ぜわしすぎたような気もする。
1年間のやくばらいをするわけではないが,このあとがきがまた仲々の難物である。4〜5カ月に一ぺん回つて来るのであるが,そうそういっも同じことばかりならべるわけにもゆかず,いつそなければよいと思つたりする。それにつけても思うのは新聞などの編集手帳とか天声人語などを担当する人は,一人で毎日書くわけで,その人々の苦労が思いやられる。事実大変な努力を傾け,身をけづるような思いをするということをどこかで読んだことがあるが,本当にそうだろうと思う。筆まめな人なら書きだめもできようし,時々外国へ出られる人はそのつど種を仕入れられることも可能であろうが,自宅と研究室の間を往復する毎日ではそうそうよい智恵も浮ばない。狭いようで広い人生,日常珍らしい体験をしてもこの欄の性質上あまりとつぴなことも書けないとなるとただでさえ重い筆が一暦にぶくなる。ところがこの欄は意外にひろくよまれているらしく,思わぬ人から声がかかつたりして,はつとすることがある。実際活字はおそろしい。
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