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K欠乏は嘔吐,利尿剤、食事制限などで起こり,精神病者に起こりやすいが,それが合併すると本症を誤診あるいは増悪に導く。Na欠乏をさらに合併すると,さらにそれはいちじるしい。本報は9例の精神疾患でかかる電解質異常の合併をみたものである。第1例39歳看護婦,ヒステリー性麻痺,アノレキシア,下痢に入院。第2例27歳看護婦生徒,アノレキシア,嘔吐。第3例29歳信仰あつき婦人,アノレキシア,嘔吐,便秘,下剤連用。第4例29歳,結婚に失敗した婦人,アノレキシア,便秘にて下剤連用。第5例21歳女子学生,無月経,不安,アノレキシア,浮腫,利尿剤連用。第6例38歳未婚婦人,自殺未遂2回,便秘,無月経,食思不振,下剤連用。第7例41歳医師夫人、更年期症状、便秘にて下剤連用、第8例33歳、anorexia nervosaにて数回入院、無月経、夜尿、多飲、サイアザイド連用。第9例40歳家婦、腎不全にて3年来うつ抑状、食思欠乏、下剤連用。
まずK欠乏ラ(筋力低下,便秘,多飲,夜尿)は9例すべてにあり,1.7〜3.9,アルカロジス合併。total body Kは3〜7例すべて低下,体重比も低く,KEも低下,腎機能もK欠乏に一致した。アルドステロン(正常157±89μg/24h)は331〜503で高い。Na欠乏は症例1を除きすべて低く117〜134。NaEは1165〜2513で低い。血圧70/40〜100/80というように低く,blood vol低い。Cl低下は6例。これは嘔吐いちじるしかつた。血漿レニン(4〜20units/l)は症例7,8,9で102〜1740といちじるしく増加。アルトステロン分泌率増加,アルドステロン清掃低下。電解質異常を発見しうれば是正は困難ではない。このような異常の原因をみると,アノレキシアは全例に,嘔吐は第2,3,4,5,6,7,8例に,利尿剤は第5,7,8例,下剤は全例に見出される。
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