書評
—清原 迪夫 著—いたみの臨床
内薗 耕二
1
1東大
pp.882
発行日 1967年9月1日
Published Date 1967/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202271
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感覚生理学の中でも痛みに関する研究が一番おくれているようである。本書の著者清原博士もいつておられるように,痛みの研究は感覚の中でも特殊なもので,その研究法も完成されたとはいい難い。光や音に関する知覚は昔からよく研究され,その内容も著しく豊富である。痛みの研究は上記の感覚と異なつて,客観的な取扱いが困難である。いきおい動物実験が必ずしも容易でない。痛みの受容器,その伝導路,中枢神経などいずれの研究面をとりあげてみても,はなはだ漠然としている。
一方医学における痛みの比重はきわめて大きいといわなくてはならない。医師の門をたたく患者の大部分は,多かれ少なかれ身体のいずれかの部分における痛みを訴えているわけである。
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