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特集 いたみ
いたみの薬理—鎮痛薬の作用機序
Pharmacological Aspect of Pain: Mechanism of Action of Analgesics
高木 博司
1
Hiroshi Takagi
1
1京都大学薬学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Faculty of Pharmaceutical Sciences, Kyoto University
pp.153-165
発行日 1967年3月25日
Published Date 1967/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904397
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I.まえがき
中枢神経系の諸機能のなかで,痛覚が鎮痛薬によつて選択的に抑制されるのはなぜか―この問題ほど神経薬理学者の研究意欲をそそるものはない。これに対する解答は痛覚実験の動物実験における困難さならびに痛覚の成立機序の複雑さのためにまだ十分な形で得られていないが,種々な角度からのアプローチが,問題点の所在をかなり明らかにしつつあるといつてよい。たとえば電気生理学的な研究は鎮痛薬の求心路に対する多角的な作用点を,また神経化学的研究は脳内活性物質とくにアミン類と鎮痛効果の関連性や発痛物質と鎮痛薬の関係などについて興味ある知見を提供しつつある。鎮痛薬,とくにmorphineの中枢作用について,広い角度からまとめたものとしてはSchaumann1)のモノグラフ,Wikler2),Martin3),高木4)などの綜説があり,電気生理学的立場からの綜説ないし論述として,Wikler5),藤田6),安原7)8),高木・松村9),Domino10)によるものがある。
ここでは鎮痛薬の作用機序についてわれわれの考えている方向を中心として最近の研究の動向をまとめてみたい。
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