Japanese
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特集 いたみ
いたみの中枢機構
Central Mechanism of Pain
石島 武一
1
Buichi Ishijima
1
1東京大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Faculty of Medicine, Tokyo University
pp.57-86
発行日 1967年3月25日
Published Date 1967/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904390
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I.はじめに
いたみは臨床にたづさわる者にとつて常に大きな問題である。古来頑痛に対していろいろな外科的除痛術が行なわれてきたが,最近定位脳手術法の発達に伴い視床レベルでの定位的除痛手術が好んで行なわれるようになつてきた。このことは手術の直接の効果もさることながら人脳視床におけるいたみの生理学的研究に絶好の場を提供することになつたことで重要な意味をもつ。著者らの教室でもここ3年来,頑痛に対する定位的除痛術として教室で創案したThalamolaminotomyを行なつている。これは初めに視床痛に対して行なわれ,視床内髄板後半の切断破壊を目的としたものである。ここに視床内髄板というのは,広義の髄板内核(n.centralis lateralis,centre médian,n.parafascicularis,n.limitansなど)とその周囲の白質の総称である。この手術の理論的根拠は視床痛の場合視床特殊感覚核内にある病巣の周囲からの異常なインプルスが非特殊核との間の反響回路のなかで強められ,それが特有な耐えられないいたみとして現われるのであろうという佐野の仮説に基いたものであつた。しかしその後,この手術が視床痛のみならず,他のいろいろな原因のいたみにも効果があることが判つてから,この手術に関連して視床痛のみならず,いたみ一般の中枢におけるmechanismがどうしても問題になるにいたつた。
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