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癌性神経筋症のうち本型がもつとも早くみいだされ,またもつとも多いタイプであるが,病理形態学的な精査の報告が少ない。著者らはすでに数回 sensory type は自家免疫として成立するという説を報告しているが,Sensorimotor型では自家抗休が証明されないので,成立機序を別途に考えなくてはならないとし,その33例を(A)癌経過中に発現した軽症(10例),(B)癌発現以前に急性亜急性に現われる重症(15例),(C)前型に似て症状弛張する(8例)3型に区分して,臨床的な神経学的症状,髄液,運動伝導速度,代謝変化などを調べ,死亡10例(B8,C2)の神経病理学的精査を行なつた。BとCとで病理学的所見の差はない。主病変は軸索消失,残存線維の退行変性,これらにだいたい比例してendoneuriumのfibrosis,線維芽細胞増殖。運動線維変化に相応する支配下の筋のdenervation atro—phy.神経線維消失より高度の髄鞘消失,Schwann細胞増殖,少数のリンパ球浸潤。その他少数に脊髄根変性,後根軸索消,後索Waller変性,ganglioradiculltisがみられた。sensor1motorとは関係ない合併症として小脳Purkinje細胞消失があった1例あり。原発の癌は肺癌50%だが,C群8例のうちには肺癌1例でたいへん少ない。A群は癌が6ヵ月〜2年先行。B,Cでは1力月以上数年,神経症が癌に先行した。1例では2年以上神経症あり。いかなる生前の精査も癌を発見できず,死後,剖検で骨盤細網肉腫をみいだした。以上を通じ本型では脱髄も軸索変性も,個々の差はあつても発生しうるといいうるが,この2つの変化をべつべつのdemyelinating型,parenchymatous型に分けてよいというのではあるまい。Schwann細胞変化が強いものでは軸索変化がめだつというにすぎぬ。pathogenesisは確言しえないが,代謝変化,たとえば少数例に見られた糖尿病型の糖代謝異常などがひとつのヒントになるであろう。
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