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ビールス肝炎に合併した肝性昏睡はきわめて危険で死亡率が高い。これに対してヘパリン加新鮮のexchan—ge trarlsfusionが奏効したというTrey (New Engl. J. Med. 274:473,1966), Berger (New Engl. J. Med.274:497, 1966)の報告がある。さて著者らは新鮮血が得られないのでACD保有血を用いて治療をこころみた。17歳学生。黄疸,食欲不振で入院。別に黄疸の原因はない。肝2横指。血清ビリルビン46mg (conju—gated 15mg), SGOT 1600u, SGPT1500u。高熱量ビタミンを与え,γ—gl注。さらに黄疸亢進す。プレドニソン300mg,ネオマイシンを与えたが,だんだん半昏睡状となる。ビリルビン54mg,EEGはdiffuse high voltage, slow waveで肝性昏睡に相当する。そこで腹控にカテーテルを入れ腹膜灌流(市販血漿500ml,灌流液2,000ml,KCl 10mEq),24時間に12回交換す。およそ650mgのビリルビンを除去した。さらに状態は増悪するのでACD保存7日の血液を右鎖骨下静脈から入れつつ,左上腕静脈から採血する方法で全血交換をこころみた。血液6u.ごとにCa gluconate 10%液10mlを添加。この間消化管出血があったが新鮮血2u.で停止した,6,000mlを交換,pH7.54,Na 137,Cl 95, K 2.5, CO245mEq。 さらに正常血液量の倍にあたる25u.を16時間かけて交換,ビリルビン23mg,昏睡状なるも腱反射が現われた。翌日灌流続行。exchange transfusion第3日で反応,応答が現われ,第5日は意識明瞭となつた。こういう治療法もありうるといつてよい。
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