学会レポート 第24回日本脳・神経外科学会
一般演題抄録・討論・総括[1〜68]
奇形—一般演題〔39〕〜〔43〕
光野 孝雄
1
1神戸大第1外科
pp.308-312
発行日 1966年3月1日
Published Date 1966/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202017
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【39】二次的狭頭症患児の頭蓋縫合部組織所見
(奈良医大第2外科)宮高 進 吉年 昌三内海 庄三郎 堀 浩
わが教室では狭頭症的病態を示す脳性小児麻痺患児が意外に多く,頭蓋開溝手術を行なつて有効であることを観察してきた。このような患者を2次的狭頭症と仮称している。これら狭頭症的病態の発生機転を理解するため,手術時に採取した頭蓋縫合部の組織所見を検索して見た。正常人では頭蓋縫合部は6ヵ月頃より線維性の癒合が起こり始め,2才前後で鋸歯状の縫合線を作る。脳の発育はこの癒合の弱い時期に行なわれるのである。そして骨性癒合は早くて19才頃より始り60〜70才で完了するとされている。上記の頭蓋縫合部の加令的変化の段階を膠原線維化の程度により,F,F+C,C+F,C,C+Oに区分し,また周辺の骨についてもその発育程度により,O0から05の各段階に区分し,それぞれ対応する正常の歴年令を定めて,対照とした。45例の患児につき検索したが,その全例において縫合部結合組織と骨との加令的変化を認めた。特に注目すべきは縫合がすでに部分的骨癒合を示す症例すらあつた。部分的骨癒合は正常では20才前後に出現するものであるが,われわれの症例中には生後3ヵ月児より10才までのものに11例も認められた。われわれは加令的変化の各段階に縫合部結合組織と周辺骨との両面から,それぞれ0ないし4点を与え,両者の点数を加えて加令度とした。この加令度と年令との関係を見ると,2才未満でかつ加令度が3点以上の例では著効がきわめて多い(23例中19例,70%)。これに対し2才以上の患児では16例中3例(19%)のみが著効を示したにすぎない。
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