第9回日本定位脳手術研究会(於 札幌)
一般演題抄録・追加・討論—一般演題〔1〜22〕
六鹿 直視
1
,
杉田 虔一郎
1
,
高岡 淑郎
1
,
津金 隆一
1
1名大脳神経外科
pp.729-744
発行日 1971年6月1日
Published Date 1971/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202924
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【1】 定位脳手術法の一般脳神経外科領域での応用
我々は定位脳手術法を用いて,第三脳室周辺部,頭蓋底部の腫瘍で,比較的血管に乏しいものにbiopsyを施行し,組織診断を行なうと同時に,radiationに際して有力な目標点となる様に銀クリップを挿入している。又cystic tumorにはpuncture後排液を行ない,cyst内Olnmaya tubeを挿入し,cystの内容液排除を頭皮上により必要に応じて行なつている。biopsyの目標点決定は脳血管撮影,P.V.G.を参考に注意深く行ない,組織片採取後の出血を極力避けるように努めた。又tumorとnormaltissueの境界を知るため,biopsy鉗子刺入前に,刺激針を刺入し,頭皮上でevoked potentialをとつた。両組織の境界部でevoked potentialが変るのみならずimpedanceも変るため,刺激のartifactにもその境界で著明な変化がみられる。これは第三脳室周辺部の腫瘍のみならずsubcortical tumorの探索にも応用出来る方法である。我々は第三脳室周辺部glioma 5例,第三脳室底部craniopharyngioma 3例,clivus後部のcysticneurinoma 1例に行ないcomplicationは1例も経験していない。
もう一つの応用として,頭蓋内深部の空気銃弾摘出術,顔面深部の伏針摘出術を行ない。何らcomplicationなく,最小の侵襲で手術を施行し得たので報告する。
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