特集−3 第31回日本脳神経外科学会総会
一般演題抄録・追加・討論—一般演題B〔1〜86〕
泉 周雄
1
,
田仲 基宏
1
,
三神 柏
1
,
小沢 敦
2
,
藤田 順一
3
,
高野 竹生
3
1国立東京第二病院脳神経外科
2国立東京第二病院細菌科
3国立東京第二病院放射線科
pp.785-849
発行日 1973年6月1日
Published Date 1973/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203341
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演題〔1〜4〕座長:川淵純一 教授
【1】 脳腫瘍と免疫脳腫瘍患者の免疫血清学的検索
一般に担癌生体はimmunological surveillance sys—temが破綻を来たしていることが知られているが,脳腫瘍においてもこれらに対する追求が行なわれるようになつてきた。われわれはまずこれらの実態を知るために,34例の脳腫瘍患者を中心として,免疫グロブリンの定量,補体価CH50の測定,抗核抗体,抗DNA抗体の検索を末梢リンパ球数の追跡と平行して動態的に実施し,それらの変動と臨床像および治療との相関性を追求した。
これらの成績を総合すると免疫グロブリンの異常が多く認められるがIgGは臨床状態不良例に高く,放射線療法後に低下する傾向があるがIgA,IgM,β1Aなどはこれらの差異は余り認められない。CH50も臨床的に不良例に高い例が多く,放射線によつても上昇する傾向にあり,リンパ球数も同じように減少するものが多かつた。従つてこれらの追跡の結果を臨床像との相関において検討すると,IgG,補体価,リンパ球数の動態は臨床症状と手術,放射線といつた治療と相関して変動する傾向が認められる成績を提示した。
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