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【1】113mIn-FeEDTAによるBrain Scan (主として脳瘍腫について)
千大神経科
松本 胖・牧 豊・井上 敞嶺井 進・河野 守正・渡辺 攻
千大放射線科
覧 弘毅・内山 暁
われわれは113mIn-FeEDTAを新たに使用しbrainscanの若干の臨床例を得たので報告する。113mIn-FeED—TAはSternらの方法に準じて作製し,静注30分後にスキャンを開始し,通常2面のスキャンを行なっている。今回は113mIn-FeEDTAのスキャンを行なつた後,手術あるいは剖検で組織診断を下し得た11例について検討した。スキャンによる診断率は11例中10例,91%の高い値を示し,脳血管写に匹敵する成績である。組織学的には神経膠腫3例,髄膜腫3例,色素嫌性下垂体腺腫,頭蓋咽頭腫,松果体腫瘍,聴神経鞘腫および肺癌の頭蓋内転移各1例のうち,聴神経鞘腫のみ陰性であった。203Hg—ChlQrm6rodrinと113mIn-FeEDTAの両方のスキャンを同一症例に行なつた例は7例である。113mIn-FeEDTAでは7例中7例,203Hg-Chlormerodrinでは7例中4例が陽性であり,しかも113mIn-FeEDTAのスキヤンには203Hg-Chlormerodrinより明らかな腫瘍陰影が認められた。次に教室の島崎が203Hg-Chlormerodrinおよび99mTcO4によつて行なつたスキヤンの成績と113mIn-FeEDTAの成績とを比較すると,203Hg-Chlormerodrinによる成績は39例中21例中で54%,99mTcO4の場合は13例中11例で85%の陽性率を示しているのに対し,113m—FeEDTAは11例中10例,91%の陽性率でもつとも高い。
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