学会レポート 第24回日本脳・神経外科学会
一般演題抄録・討論・総括[1〜68]
外傷II—一般演題〔18〕〜〔24〕
森安 信雄
1
1日大脳神経外科
pp.294-298
発行日 1966年3月1日
Published Date 1966/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202014
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【18】 外傷性中硬膜動脈動静脈痩の1例について
(名古屋大橋本外科)中村 鋼二 津金 隆一
(小畑外科病院)小畑 秀雄 成田 弘
中硬膜動脈より,中硬膜静脈へ短絡を生じ上矢状洞へ灌流していた外傷性動静脈瘻で,血腫は伴わなかつたが,頭部外傷の特殊例として,また硬膜出血源としての静脈の意義を示唆する点で興味深いので報告した。
症例は64才男で,1965年3月9日,トラックにはねられ,頭頂部強打,広い挫創を生じた。3月10日,軽度頭痛,左外転神経麻癖,両下肢軽度運動麻痺,腱反射減弱があり,右総頸動脈撮影にて,pterionから二本のレールのように平行する太い陰影が,骨直下を頭頂部正中に至ることが判明したが,経過を観察した。3月27日,無欲状,眼底乳頭blurredとなり,かつ運動麻痺進行せるため,切開による右外頸動脈撮影にて,動静脈瘻の拡大と,前方への分枝の動脈瘤状拡張をみた。3月29日,開頭術にて,病的血管を含めて硬膜を輪状に切除した。術後総頸動脈撮影は正常。組織学的には,動静脈拡張し,内膜増生,弾力線維の断裂,静脈内に壁在血栓の発育をみた。
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