第8回日本定位脳手術研究会
一般演題抄録・討論
坪川 孝志
1
,
能見 公二
1
,
森安 信雄
1
1日大脳神経外科
pp.877-889
発行日 1970年7月1日
Published Date 1970/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202760
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I.Parkinsonism target (I)
企図振戦に対する定位脳手術
──そのTargetの選定と臨床例について──
企図振戦に対する定位脳手術のtargetとして,nucl, ventralis oralis posterior (Vop)が選らばれている。その根拠として,小脳歯状核よりVopにいたる線維経路の機能充進によって振戦が惹起されるというHassler,Bucyの報告がある。しかし,小脳栓状核よりpallidumputamenと密接な線維結合をなすcentre medianの吻側部を中心とした正中核群への線維糸、与合も存在するために,Rand, Adamsらは不随意運動の治療のtargetとしてcentre medianの破壊を選んでいる。前回報告したごとく,subthalamic areaに,関節運動に反応するneuronを発見し,その反応様式,求心系の解剖,生理学的検討により,側索上行性の経小脳求心系であると判定し得たので,企図振戦の治療のtargetとなると考え,臨床的に視床centre medianの吻背側部,Vop破壊,subthalamic areaにそれぞれ破壊を加えて,その臨床効果を観察した。
臨床効果ではcentre medianの破壊では全く効果がなく,Vop破壊では振戦の振幅は減少したが,運動開始時に不円滑な動きをみとめ,指鼻試験の終了侍に振戦が増強されている,,subthalamic areaの破壊後には,いずれも満足すべき結果が碍られた(16mm映画にて紹介)。
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