学会レポート 第24回日本脳・神経外科学会
一般演題抄録・討論・総括[1〜68]
外傷I—一般演題〔1〕〜〔17〕
橋本 義雄
1
,
遠藤 辰一郎
2
,
近藤 駿四郎
3
1名大橋本外科
2福島医大第2外科
3日医大外科
pp.281-294
発行日 1966年3月1日
Published Date 1966/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202013
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【1】急性期頭部外傷手術適応決定法に関する一考按
(京都第2赤十字病院救急分院)宇山 理雄恵谷 敏 繁本 清美 若江 光一 小西 理雄
急性期頭部外傷の重症型の治療にさいして,受傷後早期に診断を確立し,手術の適応を決定することが重要である。このためには脳神経学的所見のみに頼らず,超音波診断,脳血管撮影,脳波検査を受傷後早い時期に行なつて,血腫の発見に努力するのが有利である。つまりそれぞれの診断法による有利な点を利用する多角的診断法により診断のミスをできるかぎりすくなくしようとの試みである。報告する症例数は63例であり,このうち,3検査を行なつたもの35例の死亡率は20.5%である。超音波診断の適中率は84.6%であり,脳血管写の適中率は91%である。脳波検査は血腫の局在性と脳の機能障害の程度を知る参考資料とすることはできるが決定的な資料とはなりがたい。3検査に一致した血腫診断の確定した15例の手術所見と,佐野教授の推計学的診断によるhaematolna indexとを比較して見ると3検査の適中率は93.3%であり,H-Iの適中率は80%であつた。
血腫発見には脳血管写が最も有利であるが撮影技術の点からは超音波診断の簡便さに劣るものであり,われわれはまず超音波診断によりスクリーニングを行ない,異常を認める場合に脳血管写および脳波所見を加えて手術適応を決定する方法を用いている。この方法を行なつてからの死亡率は24.2%となつており満足すべき結果を得たものと考えている。急性期頭部外傷の治療の要点は手術に先行する適確な診断である。
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