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特集 脳底部に異常血管網を示す疾患群をめぐつて
Editorial
大脳基底部のTelangiectasia—一私見
Cerebral Juxta-basal Telangiectasia
佐野 圭司
1
1東京大学医学部脳神経外科
pp.748-750
発行日 1965年8月1日
Published Date 1965/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201889
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脳底部に異常血管網を示す症例は最近わが国でその報告が急速にふえ,小児科医,脳神経外科医,神経科医などの注目をあつめつつある、このあたりで本誌が特集を企てたのもまことに時宣を得たものと自賛してよいであろう。ところでこのあとにつづく8つの論文を読まれて気づかれると思うが,その成因に関して意見がふたつに分かれ,ほぼ半分は奇形説,あとの半分は側副血行説をとつている。それではこの企画の責任者としてお前はどう考えているのかと編集部から鋒先を向けられて,ついにcommentともintroductionともつかぬ文を草しなければならなくなつたのである。
実は,わたくし自身この病変の存在に気づいたのは比較的古い。第1例は1959年9月で,以来現在までにこれかと思う症例を8例経験している。第1例の診断をなんとしようかと考えたあげく奇形とも側副血行ともつかぬtelangiectasia, Teieangiektsaieという名で呼ぶことにした。すなわち大脳基底部という部位を考えてcerebral juxta-basal telangiectasia (以下にCJBTと略す)とでも命名すればよかろうと考えたのである。そしてその年の9月末に東京医学会で行なつた「脳の動脈瘤と動静脈瘤」という講演のなかで,この第1例について一応この名でふれておいたのである。
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