Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
髄膜脳炎(ME)その他重症ビールス性中枢神経疾患に,Foster(Modern Trends in Neurology, 3rd Ed., Butterwork, 1962.)のいうように,コーチコイドが愛用されるが,実験動物ではコーチコイドがかえつてビールス感染を促進するという成績もあり,反対にアレルギー性の脳脊髄炎を抑制するという成績もあり,臨床報告ではMEにだいたい有効ということになつているが,正しくコントロールがおいてないので,正しい判定ができにくい実情にある。そこで著者らはME364例,うち106例は急性期に対するコーチコイド療法の効果をうかがつた。NorwayのBergen大学の研究者の報告。まずpostinfectiousE (Morbilli, Varicella, Rubeola, Pa—rotitisなど)91例,非postinfectious—で急性ME153例,postinfectiousか否か不明確のME 102例の3群。すべて抗生物質その他補助療法を加えた。このうちコーチコイド(cor—tisoneにして75〜300mg/日)投与77例。1群は平均年令7才,2,3群20〜22才。死亡率は1群32%,2群21.5%,3群30%。死亡は0.5〜11日の間に発生した。1群は非コーチコイド治療での死亡22%,コーチコイド療法での死亡50%。2群では非コーチコイド19.5%死,コーチコイド30%死。3群は非コーチコイド26.4%死。コーチコイド53.3%死。いいかえるとコーチコイド療法のほうが有意に死亡率が高い。そこで,昏睡を呈したものだけにかぎると,postinfectious Eでは,非コーチコイド55.2%死,コーチコイド61.9%死。非postinfect—ious Eでは非コーチコイド60.5%死,コーチコイド77.8%死。いずれにしてもコーチコイド治療では死亡率が有意に高くなつている。昏睡を呈したが救われた40例をみるに,神経学的症状残存はコーチコイド使用73%,非使用27.6%で,やはりコーチコイドをつかつたほうにsequelaeが高率である。MEにはコーチコイドを使わぬほうがよい。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.