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はじめに
大脳基底核の生理学の現況に触れる前に,小脳における生理学の現状を振り返ってみる。小脳に,現代生理学のメスが入れられたのは,1962〜3年の頃からである。小脳の遠心路に関しては,伊藤らのグループにより,また,求心路に関しては,Ecclesのグループにより,研究が推進された10)。微小電極法が応用されて,小脳の基本的な神経回路網が完成し,同時に,各要素の機能も明らかになるのに数年を要し,また,多数の研究者がこれに参加した。このニューロンネットワークを手にした生理学者の一部が,それでは,小脳は,どのような機能を果たしているのかという問題に,直接攻撃をかける時期を迎えたのである。小脳の機能に関する学説のうち,伊藤の開ループ説は,代表的なものである11,12)。
ニューロンネットワークのみの段階では,それをただちに,臨床医学に応用することはむずかしい。ニューロンネットワークを基盤に置いて,一つは,神経伝達物質の研究が行なわれ20),この結果は,生化学的研究として,臨床医学に応用することが比較的容易となる。筆者らが行なった,尾状核の抑制経路が,GABAを神経伝達物質としているという結果30)は,ただちに,ハンチントン舞踏病で,黒質,淡蒼球のGABAの濃度が低下しているという事実23)と結びついた。
Recent studies about the neuronal circuitary diagram of the basal ganglia have been reviewed and functional aspects of the basal ganglia are discussed.
1) Uno and Yoshida (1976) have revealed that the pallido-thalamic pathway exerts a mono-synaptic inhibition on the thalamic cells which locate ventromedially to the ventrolateral (VL) nucleus of the thalamus. The VL cells receive a monosynaptic excitation from cerebellar nuclei and send their axons to the motor cortex.
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