特集 脳底部に異常血管網を示す疾患群をめぐつて
"頭蓋内に異常血管網を示す症例群"についての私の考え方
工藤 達之
1,2
1慶応義塾大学医学部外科
2慶応義塾大学医学部脳神経外科
pp.781-782
発行日 1965年8月1日
Published Date 1965/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201898
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1.いとぐち
わが国におそらくは初めて発見されたと考えられる異常な脳網状血管像を示す症例は,その後症例数をしだいにましており,にわかに注目をあつめつつある。本年3月京都で開催された第6回日本神経学会総会においても多数の出題があり,数多くの追加討論が行なわれた。このことはまだ本態不明のままにあつた本症例群が症例発見の時期を過ぎて,今や本格的な検討が行なわれなければならぬ段階にたちいたつたことを示すものと思われる。今までに報告された症例は30例にちかいと推定されるが,報告者によつてその観察はまちまちで,それらがすべて資料として十分な検討に耐えるものとは思われない。今後新たに加えられる症例について,また幸か不幸か死亡例が少ないので,それらの症例の経過観察によつて新しい資料を加え,少しでも早くその全貌を明らかにしたいものと考える。筆者は数年にわたつてこの種の症例について報告をつづけてきたが,その一部については「若年性ウイリス動脈輪閉塞症」と名づけて近刊の臨床神経学誌上に原著として発表されるので,ここではこの種の症例群に対する私の見解を明らかにし,一方,本症の本態究明に対する各方面の協力を要請したいと考える。
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