Japanese
English
特集 知能とその障害
生化学の立場から
実験的フェニールケトン尿症の生化学的研究
Biochemical Studies on Experimental Phenylketonuria
塚田 裕三
1
Yasuzo Tsukada
1
1東邦大学医学部第2生理
1The 2nd Dept. of Physiology, School of Medicine, Toho University
pp.747-751
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201702
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
フェニールアラニン水酸化酵素の遺伝性の欠損が病因であり,多くは重症の精神薄弱となるフェニールケトン尿症は,多くの種類の先天性代謝障害のなかでも比較的よく研究されており,知能発達障害と代謝異常との関連を研究する上に貴重なモデルである。塚田教授は,この問題を実験的に追及するため,幼若なシロネズミに大量のL—フェニールアラニンを与え,尿中のフェニール焦性葡萄酸の排泄その他の点で人間のフェニールケトン尿症とよく似た状態をつくりだすことに成功し,このような動物は迷路学習でも対照群より劣つていることを示された。さらにサルで同様な研究を進めているが,その成果は注目に価するものがあろう。
最近にいたり代謝異常を伴う精神薄弱が数多くみいだされ,身体的な代謝異常と知脳発育とがある種の関連を有することが明らかとなつた1)。なかでもFollingによりみいだされたフェニールケトン尿症は遺伝的に肝中のフェニールアラニン水酸化酵素の欠除によるフェニールアラニン代謝異常であることが確定され知能発育とアミノ酸代謝との関連を追及するのに貴重な資料を提供するにいたつた2)3)4)。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.