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特集 精神薄弱
フェニールケトン尿症の遺伝と統計
Genetics of phenyl Ketonuria
田中 克己
1
Katumi Tanaka
1
1東京医科歯科大学医学部人類遺伝学研究室
1Department of Human Genetics, Tokyo Medical and Dental University School of Medicine
pp.133-135
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904489
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I.遺伝様式
フェニールケトン尿症(PKU)における先天代謝異常がFφlling(1934)1)によつてはじめて報告されたその翌年,はやくも本症が単純常染色体性劣性遺伝をするとの示唆が与えられた。2)Fφllingの最初の症例は姉弟例で,つづいて発見された8例中にも2組の同胞例があつたし,両親はすべて正常で男女とも平等におかされていたから,これらの事実だけからも遺伝様式はすぐ考えつくはずであつて,もちろん今日も改める必要はない。すなわち本症は有害劣性遺伝子のホモ接合体である。ただし,ヘテロ個体(保因者)はしばしばフェニールアラニン代謝の軽度の異常をしめすから,厳密には不完全劣性遺伝の部類に含めることもできるであろう。
重症な劣性遺伝病の例にもれず,本症患者の大部分は,正常表現型をもつ保因者同士の結婚から生れる。親子例—すなわち患者と保因者との結婚から患者の生まれた例はきわめて少なく,Jervis3)は256家系中わずかに2組を発見したにすぎなかつた。これは本症患者の増殖力が低いうえに,保因者と結婚する確率が低いためであろう。
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