Japanese
English
特集 精神薄弱
実験的フェニールケトン尿症
Studies on Experimental phenylketonuria
平野 修助
1
Shusuke Hirano
1
1東邦大学医学部第二生理
12nd Department of Physiology, School of Medicine, Toho University
pp.103-109
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904486
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I.はじめに
先天性アミノ酸代謝異常は近年生化学的手技の進歩と相俟つてアミノ酸血症,あるいはアミノ酸尿症として次々と発見されて来ているがこれらアミノ酸代謝異常はその症状から考えるとそのほとんどがなんらかの形で神経機能障害を引き起こしているものといつてよい。このことは,神経機能とアミノ酸代謝との間に密接な関連があることを示している。さてこれらアミノ酸代謝異常の中でフェニールケトン尿症は,わが国においても早期発見,早期治療の方法が医療行政の面で確立されつつある点で耳馴れた疾患として近来多くの人の注目をあびるようになつた。このことは,1934年以来A, Főlling1)の精力的な努力によりその病因が解明されたばかりでなくこの疾患の特徴である精神薄弱を未然に予防しうる手段を確立しえたことによるものと考えればならない。しかしこの精神薄弱を予防できるのは乳幼期に低フェニールアラニン食で育てた場合に限られるのであつていつたん精神薄弱が惹き起こされた場合はふたたび正常の状態にもどすことはまつたく不可能といつてよい。
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