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特集 知能とその障害
脳外科の立場から
大脳半球削除後の知的機能の推移
Outcome of Intellectual Abilities Following Hemispherectomy
植木 幸明
1
,
山口 昭二
2
Komei Ueki
1
,
Shoji Yamaguchi
2
1新潟大学医学部脳外科
2新潟県立療養所悠久荘
1Dept. of Neurosurgery, Niigata Univ. School of Medicine
2Yukyuso, Niigata
pp.752-756
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201703
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脳外科では,その他の方法によつては不可能ないろいろな実験的操作を行なう機会にめぐまれることがあるので,知能の問題の研究にも重要な資料が提供されることを期待できる。植木教授らは,片麻痺・てんかん発作・衝動性などをもち,大脳半球を切除された患者をfollow upし,彼らの行動上の特徴がどのように変化してゆくのかを追及された。すなわち,術後は情動の安定と興味の範囲の拡大がみられるが,IQはいつたん低下する。6ヵ月頃にはIQはほぼ術前の水準にまで回復し2年頃にはやや向上するが,術後7ヵ年ではIQはかえつて低下する傾向がみられた。また,半側の間脳以上をまつたく欠いていると思われるこれらの症例のなかには,IQが最高89という症例もあつたことは驚くべきことである。
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