連載 随想・4
脳外科の昔話(4)
中田 瑞穂
1
1新潟大学
pp.1057-1059
発行日 1962年11月1日
Published Date 1962/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201369
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V. Dr. Walter E. Dandyについて
Dandyという人はCushing, Baileyと並び数え上げらるる米国脳外科の一人者の一人である。手術が非常に巧妙で,これにはCushingも賛辞を惜まなかつた。CushingはHorrax, van Wagenen, Coneらの名もあげたがDandyを特に優れたNeurosurgeonであると,はつきり私に語つた。しかし,米国ではDandyは脳外科の仲間にあまり評判はよくなかつたようである。多少傲頑なところが,多くの人の気に障つていたらしい。しかし,Hydrocephalus成因の実験とかVen—triculographyの創案という二つの仕事のみでもNeurosurgeryとしては忘れることのできない人である。これでもつとNeurosurgeryの学問的な方面に力をそそげば,欠くところはないわけだが,教室員不足のためか何となく病理学や生理学の方向の問題に深く進まないで,実際脳外科のみに重点を置いたという憾みがないでもない。しかし実際の脳外科で,難手術という難手術(Pinealom,脳室腫瘍,聴神経腫瘍,脳水腫等々)を次々に征服し,その成果は常に一頭地をぬいていた。
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