特集 脳腫瘍の臨床
〔18〕討論
陣内 伝之助
1
,
植木 幸明
2
1岡大外科
2新大2外
pp.827
発行日 1962年9月1日
Published Date 1962/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201325
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陣内(岡大外科)演者の方々の御講演を拝聴して,皆さま方の努力によつて,画期的とはいえないまでも,脳腫瘍の臨床も一歩一歩確実に進歩してきていると思います。
佐野助教授の話にもあつたように,以前の手術成績より,この5年間の成績はずっと良くなつてきたということは,ご同慶のいたりにたえない次第であります。荒木教授の言われるように,症状の読み方,困難な症例に対する治療方法などが,ただ初めから手術ばかりに頼るのではなく,しばらく病状の好転するのをまつて処置をするというふうに,うまくなつてきた感がします。たとえば,植木会長がお話になつたように,松果体腫瘍に向つて,ただただそれを初めから全剔するのではなく,一応レ線照射やTorkildsen's operationなどをやつてみて気脳室像を参考にしながら,じつくりと症例をみつめながら松果体部の奇形腫と松果体腺腫とを区別されpine—aloteratomaのようなものに対しては,これを剔出するという適応の進め方,そういうことがだんだんわかつてきたこと,このことは今後の脳外科の方向を示されたものとして,非常に楽しく聞かせてもらいました。
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