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特集 脳腫瘍の臨床
〔16〕脳腫瘍の脳循環代謝
CEREBRAL CIRCULATION AND METABOLISM IN BRAIN TUMORS
斉藤 義一
1
Yoshikazu Saito
1
1鳥取大学医学部桑原外科
1The 2nd Dept. of Surgery, Tottori Univ. School of Medicine
pp.819-825
発行日 1962年9月1日
Published Date 1962/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201323
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はじめに
脳腫瘍の脳循環代謝の病態生理学的究明の重要なことは言をまたない。各種脳疾患につき古くから脳の血液循環,主たる代謝として酸素消費など検査されてきたが方法的に各測定は十分といえず今日にいたつた。しかし1945年Kety-SchmidtのN2O法が現われ従来の方法よりすぐれたことが認められ普及した。
脳腫瘍についての研究を歴史的に概観すると1948年Ketyらは初めて脳腫瘍13例につき報じて脳圧450mmH2OまではいわゆるMunro-Kel—lie-Cushing Doctrineにより動脈圧が上昇して脳血流量の低下を代償的にふせぐが,この限界値をこえる時は代償性が失なわれて脳血流量の減少と脳血管抵抗の増大が起こると結論した。その後もShenkin, Bernsmeier,わが国でも相沢,工藤,浜屋氏らの報告をみるが実験的脳腫瘍作製の困難さや測定方法が臨床的にやや難があることなどから比較的少ない。ことに治療的見地すなわち手術に関連しての動態の把握ははなはだ重要と考えられるが,かかる研究ははなはだ少ない。著者はこの点に重点をおいて検査をすすめているが臨床的には測定困難の場合が少なくない。以下研究途中ではあるが測定成績をあげいささか考察を試みる。
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