Japanese
English
研究
脳動静脈瘤の手術と脳循環代謝—臨床ならびに実験的研究
Pre-and post-operative studies on cerebral circulation and metabolism in cerebral arterio-venous aneurysm
斉藤 義一
1
Yoshikazu SAITO
1
1鳥取大学桑原外科
12nd dept. of surgery, Tottori University, School of Medicine
pp.773-782
発行日 1963年6月20日
Published Date 1963/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203098
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緒言
人の内頸静脈上球の静脈血は脳環流混合静脈血と見做し得ること1)からKety-SchmidtのN2O法による脳血流量cerebral blood flow (CBF)は全脳血流量の平均値を示し左右何れの内頸静脈から採血測定しても同一値を示すと考えられる3,4).脳腫瘍に関してもShenkinは両側性の同時的採血により測定値を比較検討して両側測定値の間に甚だしく近似した値を得て,脳腫瘍においても何れか一側性の測定値が脳血流量を代表するとのべている.
然るにいわゆる脳動静脈瘤あるいは瘻Arterio-venous aneurysma or fistulaなる状態においては甚だ異常な所見が認められる.すなわち同じくShenkin6)は本症においては動静脈短絡により末梢血管抵抗が除かれる結果脳血管抵抗cerebral vascular resistance (CVR)は減少して脳血流量の増大を来たすという.然し実際には脳動静脈瘤はしばしば血管破裂による頭蓋内出血を生ずるからその結果脳血流量低下の因子も加わつて複雑な循環動態が想像される.
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