カンファレンス
神経病理カンファレンス(9)
五島 雄一郎
1
,
松山 春郎
2
1慶応義塾大学医学部内科
2慶応義塾大学医学部病理
pp.807-810
発行日 1961年10月1日
Published Date 1961/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201132
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例
41週で生れた男児で,生下時体重2780g,分娩は極めて順調であつたにも拘らず,第2度の仮旋で,皮膚刺激に依て呼吸を開始したが,泣き声は非常に弱く,又その後殆ど泣かなかつた。羊水は混濁し,胎脂は殆ど認められず,皮膚は膜様に大きく剥離しかけて居り且,黄色味を帯び爪も黄色味を帯びていた。両下肢は外旋,外転して,殆ど動かさず,ぐつたりした感じで,生活力のない事を思わせる顔貌であつた。モロー氏反射は極めて弱く,吸啜反射,把握反射なく,又rooting reflexも認められなかつた。
妊娠月数に比して,体重の少ない事,及び胎脂,皮膚及び羊水の状態等からPlacental dysfunctionと考え,注意していたが,その後しばしば呼吸困難を起す様になり,又全く吸啜がない為,tube feedingを開始した。四肢を動かす事も,泣く事も少なく,泣き声も微かで時折努力性呼吸をみとめたが痙攣,チアノーゼ発作等は見られなかつた。
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.