カンファレンス
神経病理カンファレンス(7)
五島 雄一郎
1
,
松山 春郎
2
1慶応義塾大学医学部内科
2慶応義塾大学医学部病理
pp.641-647
発行日 1961年8月1日
Published Date 1961/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201109
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症例
42歳の男性で清掃夫。家族歴としては飲酒家,アルコール中毒症,高血圧症の負因が認められます。既応歴には,外地出征時にマラリアに罹患した他には特記すべきことはありません。16歳より飲酒する様になり,6〜7年前より大酒を飲み約3年前から,ウィスキー,焼酎,日本酒等を混ぜて飲むようになつたといいます。1月16日晩,毎日飲酒してない時はない位の人ですが飲酒して不隠状態になり,夜なのに"役所へ行く""朝だ"と言い出した。1月17日晩もやはり飲酒して帰宅。アンカの入れてあつた子供の寝床にもぐつてねた。1月18日,翌朝イビキをかいてよだれを流してねており,起してもおきないので家人がおかしいと思い,朝8時頃開業医を迎え注射をうけた。その後約2時間半位で意識が回復したという。その後約1週間,腰痛を訴えたりして休暇をとつていたが,その後は勤めにも出たり,好きな競馬にも行つていた。しかし,笑いのような表情が少くなつたように家人には思えたという。約1ヵ月後2月16日,その日は自分から勤務を休んでおり,前晩は酩酊して帰つて来たが此の日は飲酒していなかつた。夕方子供たちが"お父さんはゴミ箱をかき廻している。変だよ"と騒ぎ出し,隣人も"ズボンをはかずももひきのまま歩いている"と教えてくれた。夜,銭湯に入りにいつたが,しらみをとる真似をしたり"シラミがたかつた"等と変なことを言つた。
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