カンファレンス
神経病理カンファレンス(4)
五島 雄一郎
1
,
松山 春郎
2
1慶応義塾大学医学部内科
2慶応義塾大学医学部病理
pp.143-148
発行日 1961年2月1日
Published Date 1961/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201041
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症例
患者は39歳の男子,入院時(昭33年2月)の主訴は高度の失調性歩行(殆んど歩行不能。これは運動失調のほか,筋緊張亢進と,長期臥床の結果起つた両足関節の強直性変化による)と,言語障害(緩徐で断綴性)と嚥下困難,軽度の呼吸困難でございます。家族歴では患者の母が39〜40歳の頃,歩行失調を示していたそうです。母方の祖母は精神病院に2度入院したそうですが病名及び症状は不明,又,母方の祖父は"中風様"であつたと申しますがこれも詳細は不明,患者の母親が再婚して生れた弟の動静も不明,患者の子供は4人いますがその一番上の男児(6〜7歳)が時々ころぶと患者の妻が申しておりました。これだけでは優性か劣性か判断出来ません。
既往歴:19歳の時,下肢骨折,24歳の時マラリア,同年,軟性下府でワクチン注射を受けたと申します。 現病歴:患者は28歳で結婚しましたが妻の言によりますと,結婚後まもなく歩行及び言語が緩慢となり,時々転倒することがあつたそうです。昭25年7月(患者31歳),重さ16kgの物を持上げ, (職業はその頃は荷足であつた様です)腰部に激痛を訴えて北多摩郡の福生病院を訪れていますが,当時の記録によりますと腱反射軽度充進(足播搦を認め)言語緩徐でしたが,髄液には異常所見なく,ワ氏反応(髄液,血液)も陰性だつたそうです。
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