カンファレンス
神経病理カンファレンス(5)
五島 雄一郎
1
,
松山 春郎
2
1慶応義塾大学医学部内科
2慶応義塾大学医学部病理
pp.473-476
発行日 1961年6月1日
Published Date 1961/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201085
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症例
57歳の男性事務員。主訴は四肢の運動障害。起始経過は昭和32年の8月に両側の手指にしびれ感,次いで同年10月に手指の震顫あり,当院の神経科受診,慢性アルコール中毒といわれて11月より翌年3月迄,桜ケ丘保養院へ入院治療。15,6歳からかなり酒をのみ始め戦後は焼酎を大量に飲んだ。昭和24年頃肝腫大意識障害があり,それ以後家人に対して暴行が頻発するようになつたり,非常に恐りつぽくなつた。昭和25,6年頃にはアンタビュースの治療を受けている。非常にTremorがひどくなつて字がうまく書けなくなつた。入院当初はウロビリン(++),ウロビリノーゲン(++)あつたがメチオニンの皮下注射等の治療後これは改善された。肝機能検査等も特にひどい障害なく3カ月にて退院。34年の4月に両側の手,特に左に脱力感を覚え,次いで軽度の歩行障害を来たし,左足を引きずるようになつた。34年の6月19日某病院へ入院したが,その頃から症状が急に増悪し,7月には歩行が不能になつた。膀脱直腸障害(—),7月30日に当院の神経科へ入院して8月10日に整形外科へ転科,既往症には梅毒,淋病,ほかに10年前に胆嚢炎。家族歴として兄弟1人に筋無力症があり,子供6人のうち1人がMongolismusで死亡,酒は晩酌3,4合をやつており,たばこも1日10本から20本位。
入院時の所見:体格は中等大,栄養は軽度に障害され,麻痺のため独力では起立し得ない。
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