カンファレンス
神経病理カンファレンス(14)
五島 雄一郎
1
,
松山 春郎
2
1慶応義塾大学医学部内科
2慶応義塾大学医学部病理
pp.512-513
発行日 1963年5月1日
Published Date 1963/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201477
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平井(外科) 患者は16歳,男子。外科の初診が,35年11月8日。当時の主訴は歩行障害。昭和35年9月頃友人に左足を引ずつているということを指摘された。自分てはあまりハッキリ気がついていなかつたという。その年の10月17日本院の内科に入院,その頃から漸次左下肢の運動障害が強くなつてきた。11月8日,脳腫瘍の疑がいで外科に転科。外科受診当時は,意識清明で,栄養,体格中等。血圧,脈搏,その他理学的所見では異常なし。神経学的所見は,入院した11月7日直後の神経所見は,陽性の所見だけあげると,脳神経の3で右の眼瞼下垂があり,また7でcentral typeとみられる左の麻痺がある。さらにラ行とサ行があまりうまく発言できない。これは構語障害ではなかろうかということである。それからpyramidal signは左側に見られる。上肢の反射が左側で昂進,腹壁反射が左側低下,提睾筋反射が左側でなし,膝間代,足間代が左にでている。Babinskiは左(+)。また,左側四肢がspasticな感じである。知覚障害はなく,小脳症状としては,指指試験などは,左がどうもうまくない。
adiadochokinesisも左に(+),dysmetryも左に(+),Rombergも左に(+)。歩行はどつちかというと失調に傾く。総括して小脳失調症があるという結論である。
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