カンファレンス
神経病理カンファレンス(8)
五島 雄一郎
1
,
松山 春郎
2
,
鈴木 悦子
3
,
楊 俊哲
4
1慶応義塾大学医学部内科
2慶応義塾大学医学部病理
3練馬病院眼科
4練馬病院内科
pp.727-730
発行日 1961年9月1日
Published Date 1961/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201120
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症例
61歳,女性,昭和34年7月2日視力障害の主訴で眼科に入院。初診当時,視力は左右50cm指数,水晶体混濁なく,角膜異常なし。瞳孔は左右3mmで,ネオシネジンで西洋梨状に大きくなる。対光反射遅鈍,眼底は左視神経乳頭境界不鮮明。硝子体混濁するも乳頭突出せず。動脈のCuPPer wire,Cross-sign (++),出血,白斑(一)。7月10日より視力障害増強,眼底視神経乳頭黄蝋色となる。以来頭痛を強く訴えるので8月13日内科へ転科。当時の頭痛は発作性で数分続き,はげしく,悪心,嘔吐を伴う。既往症は全く聞き出せない。内科転科時現症は,体格大,栄養良,意識清明であるが,指南力(所,時)及び記憶障害されている。頭部変形なく,顔貌は頭痛発作時以外正常。眼所見としては増強せる視力障害のため眼球運動不明,臭,聴覚異常なし。軟口蓋,舌運動正常。嚥下障害なし,頸部,胸部心肺,腹部何れも理学的に著変なし。四肢運動,知覚障害なく,不随意運動もない。腱反射は右膝蓋腱反射やや減弱する他異常なし。病的反射なし。握力両側同大減弱せず。血圧130/80。一般臨床検査(血液,尿,便)諸成績は特記すべき変化なし。血沈15mm/1時間。胸部レ線写真及び心電図も異常所見なし。経過としては,8月17日頃より軽い咳と微熱が出ていたが,8月20日ベッドより落ち頭部を打つた。その翌日38℃熱発,嘔吐,頭痛はげしく,項部強直,ケルニッヒ(+)。
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