雑録
自律神経緊張測定法の原理の解説
上田 五雨
1
1東京大学生理
pp.61-63
発行日 1957年1月1日
Published Date 1957/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200537
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唾液分泌量,唾液pH,最高血圧,最低血圧,血糖,……等,21項目の検査からなるWenger氏自律神経緊張測定法は既に報告され1),その批判,解説2)等も試みられているが,次には統計的な処理を行うに当つて参考になる基礎原理を平易に解説する。
一般に多くの検査項目での測定値が得られた時,相互の数値間に多重相関係数を求めることにより,相関関係が認識されるのであるが,検査項目の中のあるものが従属変数として変動し,他のものが独立変数として変動し,前者の値を後者の線型結合として表現できる時には,変数の数が減じて,独立性の強い変数のみの関係を考えればよいことになる。そのような基準となる変数の間に,回帰方程式を求めることが,多重相関を一層合理的に考えることになる。多重要因分析Multiple Factoranalysisはその方法である。所が実際に生体内で起る現象から完全に相関を無視できる基準的な機能を求めることは不可能であり,その意味ではこの方法も完全なものではない。
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