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分病裂学説における研究と概念変遷(その4)
Fortschritte der Neurology. Psychiatrie und ihrer Grenzgebiete 19,385,1951.
関野 ヤス
1
Yasu Sekino
1
1横浜市立大学医学部精神科
1ept. of Psychiatry, Faculty of medicine Yokohama Univ.
pp.559-565
発行日 1956年5月20日
Published Date 1956/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200502
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X.治療
非常に多くの研究が「大」身体的療法に費された。その中数の上からすると,最も多いのは電気シヨツク療法の研究であり,次はインシユリン療法の研究,それからずつと少くなつて藥物による痙攣療法の業績である。睡眠療法の研究は微々たるものである。カルヂアゾール痙攣療法,電気痙攣療法,インシユリン療法(以下身体的シヨツク療法と総称する)に関する研究は各々別々に数えて他の療法の研究の数倍に及び,分裂病研究に関するあらゆる報告の最大部分を占める。これ等の研究の大部分は実に本報告の初期に出来たものである。
これら多数の研究業績でわかつたことで,最も重要なものは何かと言うと,勿論身体的シヨツク療法の効果の可能性と本態を解明したことである。これらの療法が始められた当時のような無批判で楽観的な期待は捨て去られなければならない。しかしそれにもかゝわらず,シヨツク療法は現在も一般にひろく行き亙つており,今日でもまだ有用なものとみなして差支えない。以前は早期にショック療法を行われたものゝ90,80%或は50%治癒するものと期待されもし,主張もされた。更にこの場合の治癒はシヨツク療法を行わない時の治癒よりも安定しており,又治癒の性質は自然治癒とちがつて本当の全快であると言われた。こういう理由からシヨツク療法を分裂病という「病気」に対する特殊療法と見なし,進行麻痺に熱療法を行うのと同じ熱意をもつて早期にシヨツク療法を行うことが推奨されるようになつた。
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