Japanese
English
脳・脊髄のMRI画像アトラス
MRIによる亜急性期くも膜下出血の診断
Diagnosis of Subarachnoid Hemorrhage in Subacute Phase by Using MRI
佐藤 光夫
1
,
仲野 雅幸
1
,
笹沼 仁一
1
,
浅利 潤
1
,
渡邉 一夫
1
1(財)脳神経疾患研究所附属南東北福島病院脳神経外科
pp.906-907
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100542
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症 例 58歳,男性
既往歴 幼少時右目の外傷により右眼は失明している。また,10年前に近医で糖尿病を指摘されたが,加療は受けていなかった。
臨床経過および画像所見 2002年4月26日,仕事中突然後頭部痛が出現した。市販の鎮痛剤を服用したところ,約3日間で頭部の全体的な痛みは改善したが,右側頭部に局限する痛みが持続するため精査を希望し,5月10日当科外来を受診した。来院時意識は清明で,右側頭部痛以外に神経学的異常所見は認めなかった。頭蓋内疾患の有無を検査するためにMRI(T2-weighted image,fluid-attenuated inversion-recovery : FLAIR)とMR angiography(MRA)を撮像した。FLAIRで右シルビウス裂垂直部に高信号域を含む等信号域が認められ,くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)と診断した。次にMRAの最大輝度投影法(maximum intensity projection:MIP)では右中大脳動脈M2部の周囲に高信号域の腫瘤が認められ,FLAIRで認められた右シルビウス裂垂直部のくも膜下血腫と一致した(図1)。また,小さな右中大脳動脈分岐部動脈瘤が疑われたため,shaded surface displayによる3-dimensional MRAを作成し3),動脈瘤の存在を確認した。SAH発症から14日経過していたが,右中大脳動脈は軽度の脳血管攣縮をきたしていた。この回復を待ち,この右中大脳動脈瘤に対し5月14日開頭クリッピング術を行った。術後経過は良好で5月25日新たな神経脱落症状なく退院した。
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