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症 例 67歳,女性
既往歴 63歳時,近医眼科で左側半盲を指摘され,当院に紹介された。頭部MRIにて約3 cm大の下垂体腺腫(プロラクチノーマ)が認められ,経蝶形骨アプローチにて腫瘍摘出術を施行された。
臨床経過および画像所見 術前に施行した time-of-flight(TOF)法による MR angiography(MRA)の最大輝度投影法(maximum intensity projection:MIP)にて左中大脳動脈分岐部動脈瘤が疑われたため,shaded surface display(SSD)によるthree-dimensional (3D)MRA を作成すると,約5mm大の左中大脳動脈 M1-M2分岐部動脈瘤の存在が明瞭となった(図1A)。患者は手術を希望しなかったため,血圧をコントロールし外来で経過観察する方針となった。9カ月後の3D-MRA では動脈瘤の dome の一部がbleb状にやや突出していた(図1B)。1年10カ月後の3D-MRAでは動脈瘤のdomeの一部は bleb化し,前回よりもさらに突出してきた(図1C)。2年10カ月後の3D-MRAでは動脈瘤のblebはさらに細長く突出し,初回検査時と比較すると著しい形態的変化が観察された(図1D)。左中大脳動脈分岐部動脈瘤は無症候性であるものの,一連の形態的変化から初回検査時よりも破裂する可能性は高いと考えられたため,動脈瘤に対する治療の必要性について患者に説明した。しかし,インフォームド・コンセントは得られず,再度経過観察し始めたが,初回検査から3年1カ月後に突然の激しい頭痛と嘔吐をきたし,当院に救急搬送された。来院時意識はJCS 2 でMRI fluid-attenuated inversion recovery(FLAIR) 画像にてくも膜下出血が認められ(図1E),左中大脳動脈分岐部動脈瘤の破裂が原因と考えられた。同日緊急手術を施行し,クリッピング術を行った。術後脳血管攣縮により第13病日に一過性の構音障害が出現したが,約1週間後には改善し神経脱落症状なく退院した。
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