Japanese
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脳・脊髄のMRI画像アトラス
巨大血栓性末梢前大脳動脈瘤の1例
Thrombosed Giant Aneurysm of the Pericallosal Artery :: Case Report and MR Imaging
内田 和孝
1
,
荒川 芳輝
2
,
今高 清晴
1
,
佐藤 学
1
,
清水 幸夫
1
1清仁会シミズ病院脳神経外科
2京都大学医学部脳神経外科
pp.904-905
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100541
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- Abstract 文献概要
症 例 58歳,男性
主 訴 痴呆症状,語想起低下
現病歴 平成9年10月29日の脳ドックでは,明らかな異常所見を指摘されていなかった。平成14年10月頃より痴呆症状,語想起低下を認め,平成14年11月21日当院を受診した。頭部CTで脳梁周囲槽に占拠性病変を認めたため,精査加療目的にて入院となった。
家族歴・既往歴 特記事項なし。
入院時現症 HDS-R 16/30と軽度~中等度の痴呆を認めた。その他に筋力低下などの神経学的異常は認めなかった。
神経画像所見 5年前の脳ドック時に施行されたMRI,MR angiography(MRA)では,明らかな占拠性病変や脳動脈瘤などの異常所見は描出されていなかった(図D, E)。入院時頭部CTで,脳梁周囲槽に境界明瞭で長径約3 cmの高吸収占拠性病変を認めた。病変内部は不均一であり,左前内側前頭動脈灌流領域に低吸収域を認めた。MRIで占拠性病変は,T1強調画像で高信号,T2強調画像で低信号を主体とした内部不均一な病変を呈していた(図A, B)。造影T1強調画像で病変の辺縁部が造影効果を受けた。MRAでは左脳梁周囲動脈が前内側前頭動脈分岐部で閉塞しており,その遠位部に瘤状信号領域が描出された(図C)。右前大脳動脈は占拠性病変による軽度圧排が認められた。CT angiographyおよび脳血管撮影では左前大脳動脈の閉塞のみが認められ,瘤状構造物は描出されなかった。以上より,左脳梁周囲動脈の,前内側前頭動脈分岐部の血栓化動脈瘤と,同部位閉塞による脳梗塞と診断した。
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