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はじめに
パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)の臨床診断は,特徴的な臨床症状,臨床経過,他疾患の除外,levodopaの臨床効果などで行われるため必ずしも容易ではないことがあり,診断率は80~90%前後とされている1~3)。近年,脳MRI・脳SPECTなどの画像所見を併用することによりその診断率は向上しつつあるが,主に他疾患の除外目的に行われており,現在臨床の現場で比較的簡便に行うことのできる特異的あるいは感度の高い診断マーカーになる検査法はない。一方,最近PDに有効な薬剤や手術法が次々と開発されており,治療の選択,開始にあたって早期診断の重要性はますます増大している。
[123I]meta-iodobenzylguanidine(MIBG)はguanethidine類似の構造式をもつnorepinephrine(NE)の生理的アナログで4),交感神経終末でNEと同様の摂取,貯蔵,放出が行われる物質である。[123I]MIBG心筋シンチグラフィー(MIBG心筋シンチグラフィー)はMIBGに[123I]をラジオラベルして行う心筋シンチグラフィーで,安全性は確立し,循環器領域では広く普及している検査法である5)。MIBG心筋シンチグラフィーは心臓交感神経の障害を判定できることから,各種心疾患の局所交感神経障害6~12),糖尿病性ニューロパチーの自律神経障害13, 14),神経変性疾患に伴う自律神経障害などの評価に用いられている15~43)。最近PDでは高率に心臓のMIBG集積が低下すること,これが他のパーキンソニズムなどとの鑑別に有用であることが報告されている16~18, 20, 21, 24~34, 38, 39, 41~43)。
本稿ではまずMIBG心筋シンチグラフィーについてその概要を説明し,次にPDおよび類縁疾患におけるMIBG心筋シンチグラフィーについて,鑑別診断におけるMIBG心筋シンチグラフィーの有用性を中心に解説する。さらに,PDにおける心臓のMIBG集積低下の科学的根拠を明らかにすることを目的に行ったわれわれの研究を紹介する。
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