Japanese
English
総説
虚血性神経細胞死のメカニズム
Mechanisms for Neuron Death after Brain Ischemia
内山 安男
1
Yasuo Uchiyama
1
1大阪大学大学院医学系研究科機能形態学講座
1Department of Cell Biology and Neuroscience, Osaka University Graduate School of Medicine
キーワード:
autophagy
,
lysosomes
,
cathepsin D
,
cathepsin B
,
cJun NH2-terminal kinase
Keyword:
autophagy
,
lysosomes
,
cathepsin D
,
cathepsin B
,
cJun NH2-terminal kinase
pp.558-566
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100304
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はじめに
細胞死が研究テーマとして成り立つようになって久しい。胎生期に起こるプログラム細胞死や,生後の各器官の実質細胞の細胞更新に伴う老化した細胞の死は典型的なアポトーシス(apoptosis)としてよく知られ,その機構の解明も進み,ほぼ全貌が明らかにされてきた。しかし,アポトーシスがその死の主体と考えられている様々な細胞死の形態を観察すると,その多様性に気づく。たとえば,典型的なアポトーシスの一つと考えられている,消化管上皮の死の形態をみると,細胞の縮小化,核クロマチンの濃縮は起こるが,細胞内オルガネラは複雑な変化を呈している。よく観察すると,膜系を中心とした変化が起きており,中でもオートファゴソーム,オートファゴリソソームの複雑な形態が出現し,これらが変化の中心であることがわかる。しかし,これらの死は,環境の変化に伴う受け身の細胞死とは違い,細胞自体に備わっている死の機構の活性化に伴う積極的な細胞死と考えられる。ここでは,ネクローシス(necrosis)は受け身の死と定義し,積極的細胞死(active cell death:ACD)と区別する。細胞死の形態の違いが,死の分子機構の違いを反映するか否かは,不明な点も多い。脳虚血後の変化をこのような観点から解析した研究を紹介する。
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