Japanese
English
脳・脊髄のMRI画像アトラス
拡散強調画像(DWI)による脳室炎の診断
Diagnosis of Ventriculitis by Using Diffusion-Weighted Image
大西 宏之
1
,
川端 信司
1
,
山田 誠
1
,
出口 潤
1
,
黒岩 敏彦
1
1大阪医科大学脳神経外科
pp.528-529
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100301
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症 例 60歳,男性
既往歴 1970年から腸管ベーチェット病にてステロイド加療中。
臨床経過および画像所見 2003年11月1日より,39℃台の発熱を生じたため近医内科を受診した。内服薬を処方されて帰宅したが,11月3日頭痛・嘔吐を認め,応答が鈍くなり当院に救急搬送された。来院時,発熱(39.8℃),意識障害(JCS:I-3),項部硬直を認め,血液検査上WBC>20,000/μl,CRP14mg/dlと著明な炎症所見を認めたため髄膜炎の疑いで入院となった。入院時,頭部CTでは軽度のびまん性脳腫脹を認めるのみであった。腰椎穿刺では,初圧>60cmH2O,白色混濁し細胞数1,404/μlであった。検鏡したところ肺炎球菌が検出され,CTX(2g/日)の全身投与を行い,また腸管ベーチェット病に対しプレドニン(10mg/日)の投与を継続した。11月4日の頭部MRIでは側脳室下角および第4脳室内にT1強調画像で等信号域,FLAIRおよび拡散強調画像(diffusion-weighted image:DWI)にて高信号域を認めた。同部位はガドリニウムにて増強効果を示さなかった(図)。FLAIRでは脳室周囲にまで高信号を呈し,脳室内にDWIで明確にニボーを形成する脳室内の蓄膿を認め,脳室炎と診断した。その後,硫酸ゲンタマイシン(GM)の髄腔内投与やグロブリンも併用し,髄液検査で菌は検出されなくなり,11月13日には細胞数も17/μlと改善した。11月21日MRIを再検したところ上記のような脳室炎所見は改善しており,意識清明で独歩可能な状態で軽快退院となった。
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