Japanese
English
特集 AIDSと神経疾患
4.AIDS脳症の発症機序―新規モデルマウスを用いた解析から
A New Murine Model of HIV-associated Encephalopathy
三浦 義治
1,2
,
小柳 義夫
2
,
水澤 英洋
1
Yoshiharu Miura
1,2
,
Yoshio Koyanagi
2
,
Hidehiro Mizusawa
1
1東京医科歯科大学大学院脳神経機能病態学
2京都大学ウイルス研究所附属エイズ研究施設感染病態領域
1Department of Neurology and Neurological Science, Graduate School, Tokyo Medical and Dental University
2Laboratory of Virus Pathogenesis, Research Center for AIDS, Institute for Virus Reserch, Kyoto University
キーワード:
HIV-encephalopathy
,
animal-model
,
hu-PBMC-NOD-SCID mice
Keyword:
HIV-encephalopathy
,
animal-model
,
hu-PBMC-NOD-SCID mice
pp.312-316
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100268
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はじめに
ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)はヒトへの感染により後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome:AIDS)を起こすレトロウイルスである。このウイルスはヒトとチンパンジーには効率的に感染するが,他の動物には感染しない。それ故に,感染発症機序の研究は限られた臨床データから,そして類似のレンチウイルス感染モデルからのデータに依存してきた。当然,このHIVは最も頻用されている実験動物であるマウスやラットなどの小動物へも感染しない。そこでわれわれはヒト末梢血白血球を移植したマウスを用いて,生体内に全身性のHIV感染を再現し,かつそれにより脳障害が起こるAIDS脳症マウスモデルの作製を試みた。このモデルは分子メカニズムの解析という点で優れた実験モデルであり,これから明らかになった実験結果を中心に,AIDS脳症の発症機構について論述したい。
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