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はじめに
中枢神経系悪性リンパ腫の発生頻度については,最近増加傾向にあり,1993年の脳腫瘍全国集計では悪性リンパ腫は全脳腫瘍の1.4%であったが,2003年の全国集計では2.9%と著明な増加を示している。全世界的にはAIDS多発国では6%以上に達する報告もみられる36)。 好発年齢については全国集計によると,50~80歳が77.3%を占め,特に65歳以上の高齢者が42.9%を占めることから,治療を考えるうえで高齢者を対象とした治療方針を立てることが重要である。性差については男性に多く,女性の約1.5倍と考えられている。画像的には多発症例が多く,文献的には25~50%が多発とされ,わが国のCNS-Lymphoma Groupの集計では35%が多発症例であった27)。ちなみに,AIDS関連リンパ腫では60~85%が多発症例である。単発症例では80~90%がテント上で,大脳半球では前頭葉にもっとも多いが,脳梁,基底核に発生する症例が多いことが画像診断上有用な所見である。その他に眼球病変,髄膜浸潤がみられることがあり,遠隔転移も6~10%みられる10,37)。髄液中のpleocytosisも35~60%で認められ,特に再発症例で高率に認められる。以上の所見から,脳全体,症例によっては脊髄まで治療対象と考える必要がある。病理学的特徴については,中枢神経系悪性リンパ腫はリンパ球由来の悪性腫瘍で,脳実質内に生じるが,血管周囲腔に沿って浸潤することが多い。分類としては,diffuse typeのB-cell lymphomaが多く,約98%の悪性リンパ腫がB-cell lymphomaと考えられ,免疫組織化学的にCD20,CD79aなどのpan-B markersが発現している。近年これらのマーカーに対するimmunochemotherapyも試みられている。
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