Japanese
English
特集 てんかんの基礎と臨床
1.てんかん分子遺伝学研究の進展
Development of the Molecular Genetics of Epilepsy
山川 和弘
1
Kazuhiro Yamakawa
1
1理化学研究所・脳科学総合研究センター・神経遺伝チーム
1Laboratory for Neurogenetics, RIKEN Brain Science Institute
キーワード:
epilepsy
,
gene
,
JME
,
Lafora's disease
,
sodium channel
Keyword:
epilepsy
,
gene
,
JME
,
Lafora's disease
,
sodium channel
pp.181-194
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100023
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はじめに
てんかんは,てんかん発作のみを症状とし脳内病変を認めない特発性てんかんと,脳内病変を認め,難治・重篤な症候性てんかん,さらに脳内病変はみられないものの,重篤な症状から特発性てんかんには分類し難い潜因性てんかんの3つに分けられる。特発性てんかんは,てんかん全体の約7割を占めるとされる。家族内発症や一卵性双生児での高い一致率(約70%)などから,てんかんの多く(特に特発性てんかん)には遺伝的な背景が想定され,実際に現在までに40を越える原因遺伝子が同定されている(表1)。特発性てんかんでは20弱の遺伝子が同定され,そのほとんどがイオンチャネルをコードする。症候性てんかんでは,その原因の多くが交通事故などによる脳への怪我,感染症,周産期障害などによるもので,遺伝性のものは1割に満たない(てんかん全体の~3%)がその種類は200を越え,報告された原因遺伝子の数は特発性てんかんのそれを上回る(イオンチャネルをコードするものは無い)。これら全てについて紹介するのは筆者の手に余ることから,本稿では,代表的な特発性てんかんの例として若年性ミオクロニーてんかん,症候性てんかんの1例としてラフォーラ病,さらに最近のホットなトピックスとして,特発性てんかんと潜因性てんかんに見い出されたナトリウムチャネル遺伝子異常について,われわれが得た結果を交え紹介させていただくこととする。これらにより,現在のてんかん分子遺伝学研究の進展を感じ取っていただければ幸いである。
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