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電位依存性ナトリウム(Na)チャネルのαサブユニットは,チャネルポアを形成する主要構成蛋白である。ヒトにおいてはNav1.1-1.9の9種類が知られており,Nav1.1,Nav1.2,Nav1.3,Nav1.6の4種類が中枢神経系で発現している。このうち,Nav1.1(αサブユニット1型蛋白)をコードする遺伝子SCN1Aの変異が,単純熱性けいれん(simple febrile seizures;FS),熱性けいれんプラス(generalized epilepsy with febrile seizures plus;GEFS+),乳児重症ミオクロニーてんかん(severe myoclonic epilepsy in infancy;SMEI)1)など,大きく重症度が異なる複数のてんかんにおいて報告されている。
中でもすでに200種類以上のSCN1A変異が報告されているSMEIは,難治の強直間代発作とミオクロニー発作,重い精神発達障害を特徴とする最も重篤なてんかんである。出生後,一見正常に発達するが,2-10ヵ月ころ熱誘起性のけいれん発作で発症する。発作はときに群発,重積状態となる。1-4歳頃にはミオクロニー発作が出現し,時に非定型欠神発作,複雑部分発作などを示す。初期には正常な精神運動発達も徐々に退行し,中度ないし重度の精神遅滞を示すようになる。ほとんどが散発性である。SMEIにおいては,7-8割の患者にSCN1A遺伝子変異が見出され,検出頻度は非常に高い2)。ほとんどがde novo変異で,約3分の2がナンセンス,フレームシフト,欠失などの変異であり,残りの約3分の1がミスセンス変異である。SCN1A変異の電気生理学的解析(パッチクランプ解析)については多くのグループの報告があり,チャネル機能の増大と喪失の両方の効果が報告されているが,われわれはSMEIで見出された変異についてはナンセンス,フレームシフト変異はもとより,ミスセンス変異においてもチャネル機能の大幅な低下・喪失がみられることを確認している。
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