Japanese
English
特集 精神疾患の気づきと病識
精神医学における病感と病識—精神病理学的視点から
Feeling of Illness and Insight into Illness from the Viewpoint of Psychopathology
崎川 典子
1,2
,
古茶 大樹
3
Noriko Sakikawa
1,2
,
Hiroki Kocha
3
1精神医学研究所附属 東京武蔵野病院
2聖マリアンナ医科大学大学院医学研究科
3聖マリアンナ医科大学神経精神科
1Tokyo Musashino Hospital, Tokyo, Japan
2St. Marianna University Graduate School of Medicine
3Department of Neuropsychiatry, St. Marianna University School of Medicine
キーワード:
病感
,
feeling of illness
,
病識
,
insight into illness
,
純粋精神医学
,
pure psychiatry
Keyword:
病感
,
feeling of illness
,
病識
,
insight into illness
,
純粋精神医学
,
pure psychiatry
pp.761-766
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207305
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抄録
病感と病識はどちらも精神障害(mental disorder)全般に用いられるべき用語ではない。精神障害のうちでも精神疾患(mental disease)に限定して使われるべき用語である。ここでいう疾患は,英語でdiseaseというよりもドイツ語でKrankheitというほうが適切である。すなわち具体的な身体的病変が実在する・あるいは身体的病変の実在がしかるべき根拠をもって要請される事態である。
病感は「何か具合が悪い(something goes wrong)」の「具合が悪い」に焦点づけられた体験であり,病識は「何か」に対する洞察である。病識は「疾患の実在」と「その事実に対する適切な洞察」という両条件を必須とする。
この病感-体験,病識-疾患の実在・洞察というカテゴライズを基に,身体疾患と精神疾患における病識獲得過程を比較検討した。精神疾患だけでなくあらゆる精神障害に対して病感・病識概念を適用する行為の妥当性についても言及した。
純粋精神医学の思想を前提におけば,「疾患的であるものと疾患的ではないもの」「実在と理念」「認識主体の変化」が問題整理のための扇の要を成している。
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