Japanese
English
特集 精神疾患の気づきと病識
物質使用症の気づきと病識
Self-Awareness and Insight into Disorders due to Substance Use
松﨑 尊信
1
Takanobu Matsuzaki
1
1久里浜医療センター精神科
1National Hospital Organization Kurihama Medical and Addiction Center, Kanagawa, Japan
キーワード:
依存症
,
addiction
,
物質使用症
,
disorders due to substance use
,
アルコール使用症
,
alcohol use disorder
,
気づき
,
self-awarness
,
病識
,
insight into disease
Keyword:
依存症
,
addiction
,
物質使用症
,
disorders due to substance use
,
アルコール使用症
,
alcohol use disorder
,
気づき
,
self-awarness
,
病識
,
insight into disease
pp.841-848
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207317
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抄録
「依存症」とは,物質使用のコントロール障害を指す疾患概念であり,アルコールをはじめとした精神作用物質により発症する。物質使用症はWHOのICD-11に収載された疾患で,物質依存だけでなく有害な使用パターンなどを含む包括的な症群である。物質使用症における病識の欠如は,治療への抵抗につながり,トリートメントギャップを引き起こす要因となる。物質使用症の1つであるアルコール使用症は,再発率が高く,健康への影響が深刻である。アルコール使用症の治療においては,当事者の病識を高める工夫が重要であり,そのための取り組みとして,自助グループや認知機能改善プログラムなどが試みられている。物質使用症の治療において,治療者は,当事者の気づきや病識を促す一方で,病識の獲得に固執しすぎず,共感的・支持的な姿勢を示しながら,当事者—治療者関係を構築し,治療継続を促すことが重要である。今後の課題として,物質使用症に対する社会的な偏見を取り除く普及・啓発活動が挙げられる。
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