Japanese
English
特集 性差と精神医学—なぜ頻度や重症度に差があるのか
摂食症(摂食障害)における性差
Gender Differences in Eating Disorders
小川 晴香
1
,
白石 直
1
,
明智 龍男
1
Haruka Ogawa
1
,
Naoto Shiraishi
1
,
Tatsuo Akechi
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野
1Department of Psychiatry and Cognitive-Behavioral Medicine, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences, Aichi, Japan
キーワード:
神経性やせ症
,
anorexia nervosa
,
AN
,
神経性過食症
,
bulimia nervosa
,
BN
,
男女差
,
gender differences
,
病因
,
etiology
,
男性例
,
male case
Keyword:
神経性やせ症
,
anorexia nervosa
,
AN
,
神経性過食症
,
bulimia nervosa
,
BN
,
男女差
,
gender differences
,
病因
,
etiology
,
男性例
,
male case
pp.51-56
発行日 2024年1月15日
Published Date 2024/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207170
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抄録
摂食症(摂食障害)はさまざまな合併症を伴い,致死率も高い重篤な精神疾患であり,主に思春期から青年期に発症し,女性に圧倒的に多い。性差が生じる原因は,遺伝や認知機能,脳内報酬系回路,性ホルモンなどの生物学的要因と,やせ願望を助長する家族や友人,メディアなどの社会文化的要因の相互作用によるものと考えられているが,まだ明らかにはなっていない。摂食症の重症度は,特に若年患者では女性のほうがより重症であり,女性はやせ願望が強いのに対し,男性はより筋肉質な体型を望むという特徴がある。一方,食事制限や代償行為などの摂食症症状については男女間に有意差はなく,治療に対しても同様に反応することが知られている。有病率の差から女性患者が注目されることが多い疾患であるが,近年男性の摂食症患者の増加が報告されているため,男性例を見逃さないようにすることも重要である。
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