Japanese
English
特集 時代とともに変わる精神疾患—その変化の本質を理解する
摂食症概念の変遷
Eating Disorders
宮脇 大
1
Dai Miyawaki
1
1大阪市立総合医療センター児童青年精神科
1Department of Child and Adolescent Psychiatry, Osaka City General Hospital, Osaka, Japan
キーワード:
摂食症
,
eating disorders
,
回避・制限性食物摂取症
,
avoidant/restrictive food intake disorder
,
神経性やせ症
,
anorexia nervosa
,
AN
,
神経性過食症
,
bulimia nervosa
,
BN
Keyword:
摂食症
,
eating disorders
,
回避・制限性食物摂取症
,
avoidant/restrictive food intake disorder
,
神経性やせ症
,
anorexia nervosa
,
AN
,
神経性過食症
,
bulimia nervosa
,
BN
pp.909-914
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670060909
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抄録
摂食症は,摂食制限や過食などの食行動問題と,それに伴う認知や情動の障害を主徴とする精神疾患であり,特に児童青年期の女性に多く発症し,死亡率が高いことで知られる。従来,神経性やせ症や神経性過食症を中心に概念が形成されてきたが,近年,回避・制限性食物摂取症やむちゃ食い症など新たな診断カテゴリーが加わり,より包括的な疾患群として捉えられるようになっている。
摂食症の発症は,社会文化的要因が大きく関与しており,特に「痩身が美と成功の象徴」とする価値観が影響を及ぼしてきた。そのため,摂食症は時代とともに変化する代表的な精神疾患の1つと考えられる。本稿では,摂食症概念の歴史的背景,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響を含む疫学的動向,診断基準の変遷,および社会文化的要因について概観する。

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