Japanese
English
特集 精神疾患回復の時間経過を見通す
物質使用症—正直に話せる治療関係を目指して
Disorders due to substance use : Creating a Sincere Therapeutic Relationship between Patients and Psychiatrists
武藤 岳夫
1
,
比江島 誠人
1
,
杠 岳文
2
Takeo Muto
1
,
Shigeto Hiejima
1
,
Takefumi Yuzuriha
2
1医療法人横田会向陽台病院
2特定医療法人社団宗仁会筑後吉井こころホスピタル
1Koyodai Hospital, Kumamoto, Japan
2Chikugo-Yoshii Kokoro Hospital
キーワード:
物質使用症
,
disorders due to substance use
,
トランスセオリティカルモデル
,
transtheoretical model
,
慢性疾患
,
chronic disease
,
小児期逆境体験
,
adverse childhood experiences
,
自助グループ
,
self-help group
Keyword:
物質使用症
,
disorders due to substance use
,
トランスセオリティカルモデル
,
transtheoretical model
,
慢性疾患
,
chronic disease
,
小児期逆境体験
,
adverse childhood experiences
,
自助グループ
,
self-help group
pp.1564-1571
発行日 2023年11月15日
Published Date 2023/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207128
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抄録
近年,物質使用症はより軽症の状態を含む診断基準に変更され,わが国でも予防を含めた切れ目のない支援体制の整備が図られているが,実際の臨床では依然として重症の依存レベルでの受診が大半である。
物質使用症は,「否認の病」と伝統的に表現され,回復のプロセスに入るまでが非常に長く,その間の家族などへの支援が重要である。また,「治らないが回復は可能な病気」とも表現され,慢性疾患として,特に初診時はまず治療関係の構築に力点を置く必要がある。
回復初期は,心理社会的治療を中心とし,絶えずうつろう変化への動機づけに対応した,具体的できめ細やかな支援が必要であるが,長期的には断酒・断薬よりも併存疾患や本人の抱える「生きづらさ」へのアプローチが中心となる。
治療プログラムや介入技法はツールにすぎず,何でも正直に話せる居場所の1つ,人間の一人となることが,短期・長期を問わず,物質使用症患者の回復を促すための「付き合い方」であると考える。
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